中小企業が資金調達方法の一つとして募集する社債について解説いたします。

社債発行

考え事をする人

 

社債は会社が発行する債権で、知人や取引先、その他不特定多数の個人、法人などから提示した利回りを条件に資金調達できます。
出資とは違い、決められた期間を終了した時点で利息を加えた金額を返済することで完結するので、経営に悪影響が出にくいです。
以前は実績と信頼性の高い大企業が投資家を対象に社債発行するケースが中心でしたが、近年は中小起業が社債発行するケースが増えています。

 

 

中小企業向けの社債

  • 少人数私募債
  • 信用保証協会の保証による社債
  • 金融機関の引受けによる社債
  • 社債担保証券

 

社債は手続きが面倒な面もありますが、少人数私募債であれば官公庁等への届出が不要で手軽に利用できます。
状況によっては社長を含めた個人の貸付に比べて節税効果もあるので、社債以外の方法で資金調達できる場合でも候補に入れて検討するべきです。
今後は社債担保証券の普及が期待されています。

 

 

少人数私募債

社債の引受人が社長の親戚、知人や会社の取引先等に限定されて、発行金額が1億円未満かつ社債の引受人が50名未満の条件です。
官公庁等への届出が不要で、取締役会の決議だけで発行できる利便性が魅力です。

 

活用事例としては代表者や親戚、知人からの借入が中心です。
身内であれば社債を出さなくても借入交渉できますが、社債という形にすることで信用を得ることができて、その後大きな利益が出た時に過剰な配当を請求されるトラブルを回避できます。
社債不要で借入できる場合でも、相手に安心感を与えられて会社側のメリットもあるオススメの資金調達方法です。

 

また、社債を取得する側の税制面にメリットがあります。
社債利息は利子所得として一律20%で課税されるルールがあり、貸付にした場合の利息は雑所得として給与所得と合算されて税金が計算されます。

 

役員報酬など給与所得の少ない社長からの借入ではメリットが少ないですが、会社員の知人からの借入や一定の役員報酬を得ている社長の場合は社債利息にした方が税率が低くなります。
さらに決算上、借入金が社債として表示されると金融機関からの借入審査が貸付よりも有利になるメリットがあります。

 

 

信用保証協会の保証による社債

社債は発行した会社が倒産すると元本を回収できなくなりますが、信用保証協会の保証を受けて発行すると一定の元本が保全されます。
会社は保証料を払うデメリットがありますが、第三者からの社債による資金調達が有利になり、中小起業の信頼性の低さをカバーできます。
信用保証協会の保証を利用するには純資産額に応じて自己資本比率、純資産倍率、使用総資本事業利益率、インタレスト・カバレッジ・レーシオなどの条件が定められています。

 

 

金融機関の引受けによる社債

金融機関の引受けによる社債は、貸付と違い月々の返済のないメリットがあります。
昨今は金融機関の社債受け入れ審査が緩んでいます。
貸付利息に比べて手数料が高い場合もあるので、しっかりメリット・デメリットを認識して検討しましょう。
銀行の営業マンは転勤や部署異動付き物ですが、社債引き受けによって5年分の手数料の数字を自分の実績にしようとして貸付よりも社債を提案してくる場合もあります。

 

 

社債担保証券

社債担保証券(CBO)は中小企業の社債を金融機関が束にまとめて証券化します。
中小起業単独では不特定多数の人から資金調達するのは困難ですが、金融機関が証券化して一定の保証をつけた証券にすることで幅広い投資家から資金を集められるメリットがあります。
利用するには一定の起業規模や財務状況を求められて、保証をつけたり証券化するにあたる手数料がかかるのでコストは高めです。
アメリカに比べて日本では普及が遅れていますが、今後の成長を期待される金融商品として注目度を高めています。

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