リーマンショックによる銀行不信で新しい資金調達方法が普及しました。

銀行の審査基準と各資金調達方法の難易度

銀行融資の審査イメージ

 

銀行融資の審査方法は主にスコアリング審査です。
決算の数字を基準に、売上や利益率、融資率などを自動審査します。
さらに支店長や本部決済など裁量による審査も行われて、取引実績が長い企業は優遇される仕組みです。
ほかにも新規事業や事業拡大をする際の投資費用として、事業計画書に基づいて将来の売上見込みから融資を受けることができます。

 

ポイントになるのは裁量の要素が大きいことです。
新規よりも既存顧客を大切にしていて、創業間もないベンチャー企業や決算の数字がよく企業の審査は渋いです。
法人口座などメインバンクとして使っていることと、預け入れ残高や取引金額なども考慮されます。

 

 

変化する銀行との二人三脚の経営

一昔前は銀行が頭を下げてお金を借りてくれる所を探していたものです。
オーナー経営の小規模業者ではメインバンクの営業マンが「数字が足りないから100万円を借りてください、1ヶ月後に返してもOKです」などと泣きつくケースもよく見られました。

 

数千円程度の利息は捨てるように払う必要がありましたが、銀行が困っている時に助けることで、経営の困った時に柔軟な審査で融資を行ってもらうなどして、銀行と企業は助け合いの精神で成り立っていました。
事業向けの融資もそうですし、銀行の多くは上場をしていてい投資家から資金を集めて利益を配当として還元する方針をとっていました。

 

銀行の提供する金融商品を利用する時も、利益を出さないと銀行の利益も出ない運命共同体のような存在になり、投資家から資金を集めるなど銀行と顧客は二人三脚で寄り添うのが定番の形でした。

 

リーマンショックイメージ

 

しかし、リーマンショックで二人三脚の運営は崩れてしまいます。
銀行はこれまでの態度を一変して貸し渋りを行い、国内でも倒産する企業が相次ぐ自体になってしまいました。

 

ここで伝えたのは、銀行の審査基準は経済状況によって変化します。
今現在は融資を受けられる状況でも外部環境の変化によって突然貸し渋りや貸し剥がしを行われるリスクがあります。
今すぐに銀行以外から資金調達するかは別にして、資金調達する手段で多くの選択肢を持っておくことが大切です。

 

 

リーマンショック後に登場したフィンテック

フィンテックの意味は多様化していて金融商品以外で使われることも増えていますが、語源は「ファイナンステクノロジー」の略です。
本格的に普及したのは2015年頃ですが登場したのはリーマンショック後の2008年前後です。

 

これまで運命共同体のような存在として、痛みも喜びも分かち合ってきた銀行がリーマンショックによって顧客に多大な損害を与えます。
客に損失を出したり、倒産に追い込むような貸し剥がしを行いつつ、銀行の従業員は変わらない高給与を受け取ったことで銀行の信頼は大きく下がりました。

 

また、リーマンショックによって金融機関やIT企業をリストラにあって退職した人も多数います。
市場が銀行の問題点に不満を抱き、理不尽な運営を実感していたスタッフの多くが仕事を失ったため、既存の銀行に変わる金融サービスを提供する目的で、ベンチャー企業が多数登場します。

 

新しい資金調達方法イメージ

当初は実績や取り扱いサービスが少ない中で普及するサービスは一部のみでしたが、徐々に基盤ができたことで、昨今ではフィンテックは時代を牽引する注目ビジネスに成長しています。

 

フィンテックの定義は諸説ありますが、「従来の金融機関にはないサービス」という概念も持っています。

 

ファクタリングや一部のノンバンクが行うレンディングサービス、クラウドファンディングなどもフィンテックの一種です。
新しい資金調達方法が普及したのは銀行の信頼低下の背景があります。

 

新しいサービスだけにこだわるのではなく昔ながらの不動産担保融資や公的機関の融資も低コストで利用できるオススメの手段です。
「信頼性を重視するなら銀行」「時代にあったサービスを使うべき」など、固定概念を持たず新旧さまざまな方法を選択肢にして検討することが大切です。

 

 

各資金調達方法の難易度

 

銀行融資
審査難易度 星4
金利・手数料 星2

 

紹介している通り審査は厳しく、決算や事業計画の数字や銀行との付き合いを重視されます。
まとまった資金調達に強いので、可能であれば付き合いは持っておくべきです。

 

 

公的融資
審査難易度 星5
金利・手数料 星1

 

審査は厳しいけど低金利で数千万円単位の借り入れが可能です。
不動産担保と保証人の有無で借り入れ限度額が変わります。
実際に審査に通る人は必要な金額の3割ほどの自己資金を持っているケースが多いデータが出ています。

 

 

ビジネスローン(ノンバンク)
審査難易度 星3
金利・手数料 星3

 

銀行に比べて審査が甘くて金利が高いです。
借入額が低いほど審査に通りやすく、将来の売上見込みよりも決算の数字を重視されます。

 

 

社債発行
審査難易度 星4
金利・手数料 星3

 

社債を買ってくれる人がいて成立する資金調達方法です。
ネームバリューのある大手でよく使われる資金調達方法で中小企業であれば、信頼性や成長性が高くないと難しいです。
利回りを高く設定すれば資金調達できる確率が高まります。

 

 

ファクタリング(売掛金現金化)
審査難易度 星1
金利・手数料 星5

 

銀行系、民間系や2社間、3社間によって条件は変わります。
柔軟審査の民間ファクタリングなら赤字、税金滞納、創業直後など融資の難しい条件でも売掛先の信頼に問題なければ資金調達可能です。
ただし融資で払う利息に比べて手数料は高いです。

 

ファクタリングは数日(早いケースでは数時間)で現金を手にすることができますが、前述した手数料(金利相当)の関係で長期利用には不向きです。
短期的な回復が見込める場合には、経営の起爆剤となるポテンシャルを秘めたサービスですのでファクタリング活用術のファクタリング解説・活用事例を参考に戦略を練ってみましょう。

 

 

 

不動産担保融資
審査難易度 星2
金利・手数料 星1

 

自己所有(個人、法人名義ともに可)の不動産がないと利用できません。
審査が甘くて金利も安いですが、返済できなくなると担保に入れた不動産を失うことになってしまいます。

 

 

売掛債権担保融資
審査難易度 星2
金利・手数料 星2

 

仕組みはファクタリングに似ており、売掛債権を使った資金調達方法です。
分割で返済できるのがファクタリングとの大きな違いです。
ファクタリングの手数料に比べると利息は低いですが、融資を受けるまでに時間がかかります。
また、債権者の信用力が高くなければ利用することはできないので、ファクタリングに比べて利用の壁が高くなっています。

 

 

ベンチャーキャピタル
審査難易度 星5
金利・手数料 星1

 

ベンチャーキャピタルは主にファンドが上場を目指す企業に出資をしてキャピタルゲイン(売却益)を狙う投資法です。
将来性が高く上場を目指していて、設備投資などで資金調達が必要な場合に向いています。
出資なので返済という概念はなく、上場できれば双方が大きなメリットを得られます。

 

 

クラウドファンディング
審査難易度 星3
金利・手数料 星3

 

不特定多数の個人を相手に特典を用意して資金調達を募る方法です。
決算の数字や営業面の数字よりも、資金調達したお金の使い道や、寄付した人への特典の内容で成功するかが決まります。
開発する商品を特典にすることも多く、手数料で見ると安くない場合もあります。

 

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