資金調達ラウンドとは、金融機関や出資者が資金提供する事業のステージを分類するもので、「フェーズ」、「ステージ」と表現されることもあります。
資金調達をする事業者側も、自分達のビジネスがどの資金調達ラウンドに位置しているか把握することが大切です。
一般的に資金調達ラウンドは以下の5段階に分類されます。
以下にて、ラウンドごとの資金調達方法と相場・時間について詳しく解説いたします。
第1段階で「種」の意味から分かる通り、シードとは起業・創業前の段階です。
シードにおける起業・創業資金の調達は日本政策金融公庫の創業融資制度が人気です。
事業計画書を作って審査を受ける必要があり、スムーズなら1~2ヶ月で資金調達できます。
調達できる資金は事業内容・事業規模のほか、自己資金の比率が重要になります。
このほか魅力的な事業計画がある場合は、投資家からの出資で資金調達するケースも多いです。
アーリーは起業直後でスタートアップの段階です。
シードと同様に事業を立ち上げる資金を調達できる場合もありますが、アーリーの段階から立ち上げに関連した資金調達を始めるのは計画性がないと判断されることがあります。
アーリーでは収益化するまでの時間が当初の想定以上にかかった場合や、人件費・仕入れ・経費などで出費が膨らんだ場合の運転資金調達で利用されることが多いです。
実績がなくて計画通りにスタートアップができていないアーリーは、資金調達で苦戦しがちなので注意しましょう。
黒字決済を出した実績がないスタートアップ企業は、銀行融資の審査に通らないことが多いです。
事業計画書を作り直して日本政策金融公庫の公的融資を受けるか、経営者の個人名義での借入や出資を募るなど工夫した方法で資金調達しないといけません。
スムーズにいけば1~2ヶ月で数百万円~数千万円の資金調達をできますが、アーリーの段階では計画通りに資金調達できないケースが多く見られます。
シリーズA(エクスパンション)とは、事業が形になって顧客が増え始める成長段階です。
売上が増え始めているけど会社全体としては赤字もしくはトントンくらいの状態が、第3段階のシリーズAに分類されます。
従業員を増やす・設備投資をする・広告活動に注力するなど、さらに売上を伸ばして軌道に乗せるための事業投資で資金調達する必要がある資金調達ラウンドです。
エクスパンションは顧客の利用拡大を意味する言葉で、シリーズA(エクスパンション)の段階でも決算など過去の実績よりも事業計画の完成度・魅力が重要になります。
シリーズAの主な投資家は、日本政策金融公庫などの公的融資と出資をするベンチャーキャピタルなどの投資家です。
コンパクトな事業であれば1~2ヶ月ほどで調達できますが、数億円以上の資金を調達したい場合は数ヶ月かけて市場調査や審査・プレゼンなどをしないといけない場合があります。
シリーズBは事業が成長して安定してきた時期です。
資金調達しなくても事業規模を維持できるけど、まとまった資金調達による事業投資で急成長させたい場合に利用します。
上場を目指す場合は数年単位で計画をするなど、長期的な目で見ないといけない資金調達ラウンドです。
ある程度安定した段階に入っているので銀行融資も利用しやすくなります。
大型案件の受注に伴う仕入れや外注費の確保を目的にした運転資金の調達では、ビジネスローンなどスピード入金に強い資金調達方法の人気が高いです。
黒字経営が安定している最終段階で、資金調達の目的は全国展開・海外進出・上場などスケールが大きな話になります。
ある程度の事業規模になっているためベンチャーキャピタルではなく、上場による株式公開での資金調達やM&A・資本提携などが定番の資金調達方法です。
シリーズCでは社内に金融の専門家を配置するかコンサル会社を利用するなどして、時間と手間をかけた資金調達が求められます。
調達できる資金の上限はなく、実際に資金調達するかは別にして水面下で様々な企業や金融機関・投資家と交渉しているケースが増える資金調達ラウンドです。
一口に資金調達と言っても事業段階ごとにその目的や方法、相場や時間は大きく異なります。
経営者の方はそれぞれのラウンドの特徴と注意点に留意したうえで、自社の成長段階に合った資金調達の方法を選択する必要があるといえます。
事業を拡大していくために資金調達を行わなければならない場合は、ラウンドを理解したうえで戦略的かつ計画的に資金調達を成功させましょう。